ミックスのコツ

【アンプに例える】宅録ギタリストのための簡単EQ術

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どうも、べにまるです。

ミックスに関して記された書籍やネット上のWebページを眺めていると、頻繁に紹介されているのがプラグインのEQを使ったテクニック。
「EQを使って音を棲み分ける」「EQで音の距離感を調節する」
などなど、ベテランのエンジニアは、EQ一つで本当に様々な問題を解決してしまいます。

ところがこのEQ、まだミックスにあまり慣れていない人にとっては、できる事の選択肢が多すぎるため、一体どこをどのくらい弄れば良いのかイマイチ分かりづらいですよね。
見よう見まねで雑誌に書かれたテクニックを試してみても、
「本当にこれでいいのだろうか・・・」「思ったほど効果が得られてない気がする・・・」
なんて感じる事も多いと思います。

そこで今回は、複雑なテクニックは一旦置いておき、最も基本的かつ効果の大きいイコライジング術を紹介したいと思います。
一見、無限の組み合わせがあるようにも思えるパラメトリックEQも、実際によく操作されるポイントは意外と限られているもの。
ここではイメージしやすいように、ギターアンプに付いているEQのツマミを例に用いて説明してみたいと思います。

様々な応用テクニックを習得するためにも、まずは基本的なイコライジングをバッチリとこなせるようにしたいですね。

周波数をアンプに例えてみる

ギターアンプやエフェクターに付いているEQツマミと、ミックスで扱うパラメトリックEQ。
これらはなんとなく別物のように感じてしまいますが、本質的には大きな違いはありません。

まずはパラメトリックEQの各バンド周波数を、以下のように設定してみましょう。

・ロー:180hz
・ローミッド:300hz
・ハイミッド:1.5Khz
・ハイ:4khz

Title - コピー

中域だけハイミッド・ローミッドと二つに分かれているものの、これで一般的なギターアンプのEQツマミに近い効果が得られると思います。
プラグインEQは効きが強いので、自然なサウンドを保つためにも±7dbぐらいの範囲で調節するのが良いでしょう。

それでは各帯域について細かく見ていきましょう。

ハイ&ローをしっかりと

今回設定した4つのポイントのうち、特に重要なのはハイ・ローの2バンド
これらの帯域さえしっかり調整できれば、基本のEQとしてはOKな場合も多いです。

Fenderの代表的なアンプであるDeluxe ReverbにもEQが”Treble”と”Bass”の2バンドしかありませんが、音作りに関して不自由する事は多くありませんよね。

ローで音圧を作る

LowEQ180hz
ギターアンプの”Bass”つまみと同じイメージで低域をカットorブーストするためには、まずEQの周波数を180hzにセットしてみます。
この際EQのカーブはピーキング(ベル)ではなく、シェルビングタイプにしておきましょう。

これによってサウンドの音圧感を直感的にコントロールすることが出来ます。
低域を強調すると音が派手にカッコよくなるので、ついついブーストしたくなってしまいますが、あまり上げすぎると他の楽器と混ぜた時に音がぶつかり合って、抜けの悪いサウンドになってしまいます。
ブーストする際はほどほどにしておきましょう。

もし「ちょっと効きが弱いかな?」と感じた場合には、少し周波数を上げて250hzに設定してみましょう。
特にカッティングのギターなどはこの帯域からカットする事で、キレのあるシャープなサウンドを作る事が出来ます。

ベースやバスドラムなど低音楽器の場合はもっと低い帯域(60~150hz)にも手を入れたくなる所ですが、これらの帯域はモニター環境によっては判断が難しい場合があります。
まずは180/250hzのセッティングを用いて低音をきっちり処理できる事を目指しましょう。

ハイでエッジ感を出す

HighEQ4khz
EQの周波数を4khzに設定することで、一般的な”Treble”ツマミと同じ感覚で音を操作できます。
ローと同様に、EQのカーブはシェルビングタイプにしておくのが良いでしょう。

ギラっとした成分をコントロールする事で、音の輪郭を強調したり、逆に落ち着かせる事が出来ます。

もし音のキレが悪く感じられる場合、ハイをブーストしても良いのですが、できればその前に一度ローを少しカットしてみてください。
余分なローをカットすることで相対的にミッド〜ハイが聞こえやすくなり、ハイだけを強調した場合よりも良い結果が得られる事が多いです。

慣れてきたらもう少し周波数を上げて8khzあたりにも設定してみましょう。
4khzがアンプの”Treble”だとしたら、8khzは”Presence”といったイメージでしょうか。
音のキャラクターを大きく変えずに、サウンドのエッジ感だけを強調する事が出来ます。

ミッドの操作は慎重に

“Bass”、”Treble”ときたら次は”Middle”!と行きたいところですが、
中域に手を入れる場合は少し注意が必要です。

先に紹介したハイ/ローの帯域は基本的にどの楽器にも有効ですが、ミドルは音源によって効果的な周波数ポイントが変化します。
また、ミドルは大きく手を入れると音のキャラクターが崩れてしまいやすいため、適切に処理しないと良い結果が得られません。

中域へのEQは、明確な目的を持って行うようにしましょう。

ハイミッドは音の芯

HighMid1.5khz
ハイミッドへのEQは、他の楽器と比べてギターの存在感が大きすぎる or 小さすぎると感じた場合に有効です。
1.5khz辺りは、いわゆる音の芯と言われるところ。
やや広めのQ(ピーキング)でブーストすると、アンサンブルの中で音がハッキリ聞こえやすくなります。

この帯域は、楽曲の主役となる事が多いボーカルにとって非常に重要な帯域です。
もし他の楽器の存在感が大きく、ボーカルが聞き取り辛いと感じられた場合には、この帯域を少し譲ってあげると解決できるかもしれません。

ローミッドで音をすっきりと

強く歪ませたギターや、オフマイクで部屋の響きを多く収音した音源などは、サウンドに雑味が多く”もっさり”とした印象を受ける場合があります。
そういった時には、EQカーブをピーキングに設定して300hzをカットしてみましょう。
LowMidEQ300hz
これによって音をかなりスッキリさせることができると思います。
やりすぎると所謂”ドンシャリ”なサウンドになってしまい、楽曲全体の音圧感が失われるので注意しましょう。

まとめ

EQに関するテクニックは本当に様々で、人の数だけ方法があると言っても過言ではありません。
「〜hzを〜dbカット」といった具体的な数値も、音楽のジャンルやスタイル、そして音源によって大きく変化していきます。

最終的にはやはり、音源に合わせた処理を自分で決めていかなければなりません。
そのためには、音を正しく判断できるだけの”基準”と”耳”を育てる必要があります。

まずは今回紹介したシンプルな操作で、基本的な処理のマスターを目指してみましょう。
その上で少しづつ応用のテクニックを試して行き、EQを自分の手足のごとく扱えるようになると良いですね。

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