Overdrive

KLON Centaurは最強のペダルなのか?【レビュー】

Centaur KLON Gold No Picture

どうも、べにまるです。
今回はオーバードライブ界のレジェンド的存在、KLON Centaurをチェックしてみたいと思います。

近年では恐ろしいほどのプレミア価格が付けられているペダルですね。
古い物ほど価格が高く、安いものでも10万、最初期の物となると35万以上で取引されています。
ほんの数年前はもう3割くらい安かったような・・・
日本では著名なギタリストに使用者が多いためか、特に人気が高いように感じます。

そんなCentaurに対し、幼き日のべにまる氏は憧れとも疑問ともいえない感情を抱き続けていました。
「Centaurってめちゃめちゃ高いけど、いったいどんな音がするのか・・・?」

10万を超えるペダルのサウンドなんて、にわかには想像もできません。
試奏しようにも、楽器屋で本物をお目にかかる機会すらありません。
大人になってようやくケンタとご対面したときの感動はひとしおでした・・・。
(今回はそんな若き日のべにまるに宛てるつもりで書きます)

ということで前置きが長くなりましたが、論より証拠、Centaurのサウンドをチェックしていきましょう。

いきなりですがこのペダル、誰が聴いても「おぉ、めちゃめちゃ良い!」と唸るようなペダルでは無いと感じます。
というか現代の音楽環境において、求めるサウンドにマッチしない可能性のほうが高いのではないかとすら思います。

Centaurのサウンドは所謂”アンプライク”でもありませんし、今時もっとワイドレンジで透明感のあるドライブペダルは沢山あるでしょう。

それでもケンタのサウンドが愛されるのには理由があります。
柔らかく、温かさを感じるサウンドで、ギターの美味しい部分をエンハンスしてくれる
これが一番の魅力なのではないかと思います。
それでは、詳しく見ていきましょう。

*Centaurは生産時期によってケースの色がシルバーだったり、ウマ人間の絵が描かれていたりと様々なバリエーションが存在しますが、今回は「ゴールド・絵なし」を対象にします。
Centaurは何種類か弾いてきましたが、個人的にはこのGold No pictureが最も中間値的なサウンドであると感じています。

どこかVintageを感じるサウンド

Centaurのサウンド最大の特徴は、その温かいサウンド。
Centaur自体はそこまで古いペダルではありませんが、サウンドからはどこかビンテージ機材のような印象を受けます。

そう書くと強烈にうさんくさいですね。
ここで言うビンテージっぽさとは、ハイエンド(高域)が緩やかに抑えられており、さらに出力のゲイン感がやや低めな、いわゆる“枯れた”サウンドを指します。

多くのCentaur系クローンペダルは音がモダン or クリーン過ぎたり、オリジナルの温かみに似せようとしてレンジの狭いローファイなサウンドになってしまっているものが多いように感じます。

どこかレトロでありながら、わざとらしく無い。
高いお値段は単なるプレミアだけじゃなさそうです。

ブースト向きのファットさ

Centaurのサウンドは決して、現代のODペダルのように”アンプライク”なものではありません。
スタジオのJCを歪ませるような使い方にはあまり向かない、ウェットで暑苦しいサウンドです。

ここはやはり、定説通りブースターとして使うのが良いでしょう。
ブースターに関しては認識の違いが生まれやすいですが、ここで言うブースターとはクリーンに音量を稼ぐツールではなく、アンプをプッシュして”押しのサウンド”を得るためのものです。

ブースター向きのOverDriveと言えばTS系が有名ですね。
ハイ&ローのレンジが狭く、ミッドに寄った硬めのサウンドは、ヌケのよいパワフルなサウンドを生みます。

一方ケンタはレンジが程よく広め。(しかし広すぎない、コレが大事)
ファットなローミッドとキレの良いトレブルが強調されるので、アンプをプッシュした際に音像の大きいサウンドを無理なく作ることができます。

余談ですが、この”色気”と”キレ”はなんとなくストラトキャスターのフロントPUを彷彿とさせますね・・・

太く、しかしヌケが悪くならない。
ギターの美味しい部分をうまくエンハンスしてくれる。これがブースターとしてCentaurが名声を得た理由かもしれません。

その価格は適正か?

さて、ここでどうしても避けて通れないのが「この価格はどうなの?」という話題。
事実、Centaurのサウンドが持つアナログ感は、安価なクローンペダルでは太刀打ちできそうにありません。
しかし、その“音”だけに対して10万以上の値段がついているわけでは決してありません

私がCentaurの価格について話す際、しばしば引き合いに出すのがBJFEの「Honey Bee Overdrive」です。
BJFE honeyBeeOD
このペダルもCentaurと同じようにレジェンド的な評判を獲得し、現在でも高い人気を誇ります。
しかしながら中古での価格相場は長いこと6万程度から上昇していません。

個人的にはこのくらいが”音”につけられる値段の限度なのでは、と感じています。
(主観ですがHoney Bee ODの価格は適切だと思います。)

Centaurは著名人の使用や、ルックス、豊富なマイナー・バリエーションなど様々な偶然が積み重なって現在のような「伝説」が作られてしまったのかもしれません。
Centaurの後継であるKTRのケースには「Kindly remember: the ridiculous hype that offends so many is not of my making.」(馬鹿げた”Centaur神話”は決して私の意図するところにあらず)とプリントされており、製作者自身もこの状況を憂いていることが伺えます。

骨董品的な価値が付くこと自体は問題ではありません。
しかし、それによってペダルが持つサウンドの魅力が埋もれてしまったり、その音を必要としている人の手に渡る機会が失われてしまうのは、やや残念ではあります。

まとめ

なんだか暗い話になってしまいましたが、Centaurのサウンドが伊達ではないことは紛れも無い事実です。
・どこかVintage感のある”枯れた”サウンド
・ファットなブースターとしての有用性

Centaurは巷に溢れるどのクローン製品ともキャラクターが違いますし、他に似た質感のペダルも思いつきません。

自然で温かみのあるサウンドを求めている人、もしくは今まで様々なペダルを試してきたが、いまだに満足のいくブースターODペダルに出会えていないという人。
こういった人にとってCentaurはこの上なくハマるペダルかもしれません。

是非試して見てください、などと気軽には言えませんが、一度は自分の手で触れ、様々なものを感じ取って頂きたい。そんなペダルです。

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