どうも、べにまるです。
Centaurネタが続いております。
今回はKLON KTRについて。
オリジナルCentaurといえば独特のサウンドを持った素晴らしいペダルですが、ここ数年でありえないほど価格が高騰しているのもご存知の通り。
そんな状況を打破すべく、Centaurの製作者であるビル・フィネガンが、再デザインしたCentaurを発売したのが2012年のこと。
そのペダルこそが今回紹介するKTRです。
発売当初は、手ごろな価格(といっても3,4万)で本家KLONのCentaurを入手できるとして、非常に大きな話題になりました。
「Centaurの半分以下の価格で同等のサウンドが手に入るなら儲けモンだが、本当にそんなうまい話があるのか?」
なんて事を思いながら早4年、ここに来てようやくKTRをじっくり試す機会を得ることが出来ました。
ということで今回はKTRのサウンドチェック & 元祖Centaurとの比較を行っていきたいと思います。
比較対象はCentaur Gold No Picture。
こちらは数あるCentaurの中でもサウンドのバランスが良い印象があります。
若きウマ人間は”伝説”の仲間入りを果たすことが出来るのでしょうか。
それでは見ていきましょう。
上品でモダンなサウンド
まずはKTR自身のサウンドについて見ていきましょう。
このペダル、予想に反してかなりモダンなキャラクターを持っているように思います。
上下共にレンジが広く、余裕を感じるサウンド。
繊細で密度の高い歪からは、品の良いディストーションのような印象を受けます。
というのも、意外な事にCentaurの回路はオーバードライブというよりCLASSICなディストーションに近い増幅方法をとっています。
加えて、ドライブサウンドにクリーンなシグナルがMIXされる構造になっているため、柔らかさとキレを両立することが出来るという、工夫に満ちたデザインになっています。
KTRは、そんなサーキットの特徴が色濃く現れているペダルですね。
海外のスタジオミュージシャンのような、スムーズなトーンを得る事ができます。
Centaurとは別物
いよいよ元祖オリジナルCentaurと比較していきましょう。
結論から言ってしまうとこの2台、全く異なるサウンドキャラクターを持ったペダルです。
元祖Centaurは独特のレトロ感をもつ、暖かくてファットなサウンド。
暑苦しいまでのサウンドはコードバッキングにこそ向きませんが、とりわけブースターとしてアンプをプッシュした際のナチュラルで音像の大きなサウンドは流石と言った所です。
対するKTRは繊細で、余裕を感じるモダンな音色。
現代の演奏環境でもコントロールしやすく、クリーンブーストからバッキングまで幅広く使っていけるポテンシャルを持っています。
そんな風に言うと器用貧乏でつまらない感じがしてしまいますが、そんなことはありません。
プリっとした透明感とドライブのバイト感が共存する様は見事。
私が過去触ってきたどのCentaur系ペダル(オリジナル含む)よりもキレイなトーンバランスを実現していると思います。
正直に言うと、元祖Centaurの”伝説”を期待してKTRを鳴らすとガッカリするかもしれません。
作る側も、そもそも似せる気が無いのでは、という気がしています。
KTRは決して元祖Centaurのリイシューではなく、あくまで理想のオーバードライブを目指して生まれ変わった、新型のペダルだったのかもしれませんね。
KTRの抱える苦悩
KTRは、いかんせん棲み分けというか、ちょっと難しいポジションに置かれてしまった可哀想なペダルかもしれません。
ペダル自体は素晴らしいサウンドと個性を持っているのですが、ほとんどの人はKTRに「レジェンドの代役」を期待するのも事実。
残念ながらKTRと元祖Centaurとはキャラクターが大きく異なるため、オリジナルCentaurに憧れる人にとってのマスターピースにはなれません。
一方で、KTR自身が持つサウンドの魅力で勝負しようにも、現在のKTRは相場およそ50,000yen。
元祖Centaurと比べればダンゼン安いものの、一般的なペダルから見ればなかなかに手を出しづらい価格です。
(以前はもっとリーズナブルな価格だったのですが、元祖Centaurの価格高騰の煽りを受けてしまったようです)
優秀で実績もある兄。そして常に兄と比較されながら育っていく弟。
深いジレンマに揺れるKTR君ですが、いずれはそのサウンドが真っ当に評価される日を迎える事が出来るのでしょうか。
まとめ
ということで今回はKLON KTRをチェックして参りました。
・元祖Centaruとは異なるキャラクター
・上品でモダンな印象
・Centaur回路の良さがよく現れている
KTRは何かにつけて「似てる」「似てない!」と比較の話ばかりされてしまいがちですが、本質的には非常に高いポテンシャルを持つ”現代のCentaur”だと思います。
元祖CentaurよりもKTRのサウンドが好みだと感じる人もかなりいるのでは、と思います。
是非、一度フラットな気持ちで実機をチェックして見て頂きたいですね。