どうも、べにまるです。
Centaurネタも落ち着いたところで、今回からはいわゆる”TS系”と呼ばれるオーバードライブを中心に見ていきたいと思います。
TS系とは、Ibanezの歴史的名器「TubeScremer」シリーズを回路的にアレンジしたODペダルを指していますね。
これらはしばしば、ODの王道的なポジションとして扱われています。
TS系のペダルは非常にクラシックで深い歴史がある反面「ローが出ない」「ミッド寄りすぎ!」といった性質を持つことで有名ですね。
最近の成熟したOD市場には、ハイからローまでキレイに出るモダンなODペダルも沢山ありますが、それでもTS系ペダルを愛用する人は絶えません。
現代においてTS系が愛される理由ってどこにあるのでしょうか。
もちろん答えは一つではありませんが、最大のPOINTは
「ギターの芯はミッドレンジにある」という部分にあると思います。
今回はそんなTS系ペダルが持つ魅力について、再確認してみたいと思います。
アンサンブルに埋もれない
TS系最大の魅力は、ミッドが強調される事によって、アンサンブルに埋もれないギターサウンドを作れる所だと思います。
最近のODは本当に素晴らしく、ハンドメイド系をはじめ、大手ブランドやデジタル回路の歪ペダルまでも、一昔前からは考えられないほどに素晴らしいサウンドを出すようになってきました。
これらのペダルはどれもハイ~ローのレンジが広く、ナチュラル。
一人きりの静かな環境で弾き比べてしまうと、TS系のODはいささかレトロで粗い印象すら受けます。
しかし、TS系のペダルが本領を発揮するのは、ドラムやベースなどアンサンブルに混ざった時。
TSのミッド偏重なサウンドは、アンサンブルの中でギターのサウンドを浮き立たせてくれます。
例えば、ライブでも録音でも往々にして問題になるのが、「ギターのロー成分がベースの低音とぶつかってしまい、どちらもヌケが悪くなる」という現象(マスキング)。
これを避けるには、余分なローをカットしつつ、ギターのおいしい帯域を強調する事で、ベースとの住み分けを図る必要があります。
「ローが出ない」「ミッド偏重」なTS系ペダルはまさにその役目に最適。
一見デメリットに見えるTS系の特性には、大きなメリットが隠れているのですね。
ローゲインなBoosterとして
TS系ペダルの回路は、いわゆる「ピッキングひとつで歪をコントロール!」といった類の繊細さを出すのが苦手です。
正直、そういった”アンプライク”な特性を求めるシーンにはあまりハマらないと言っても良いでしょう。
一方で、TS系の柔らかく飽和感の強いサウンドは、Boosterとして使用するのに最適です。
伸びやかなソロを弾く際にはある程度のゲインとサスティーンが必要不可欠ですが、TSはしっかりとした飽和感を持っているため、あまりゲインを上げずとも弾きやすい安定したサウンドを作る事が出来ます。
世間的な認識の通り、ブルージーなリードトーンを出したい時には、TSでアンプをプッシュする方法が非常に有効です。
大御所ブルーズマンがTubeScreamerを愛用しているケースが多いのも、こういった理由からかもしれませんね。
多用な進化を遂げたペダル
最後はちょっとマニアックな意見ですが、TS系は非常にオタク好みのODカテゴリだと思います。
TSはブランド毎の解釈によって、本当に多種多用な進化を遂げてきたペダルです。
ある者は最大ゲインを上げてみたり、またある者はTreble/LowのEQを増設してみたり。
理想のサウンドを追求するに当たって、これほど追い込めるペダルは他に無いでしょう。
すぐに特性が崩れてしまうHoneyBeeODのような繊細な設計のペダルと違い、回路本来の良さを活かしたまま豊富なアレンジが可能である事が、TSの隠れた魅力だと思います。
一般ユーザーのレベルでもオペアンプの交換など良く聞く話ですよね。
また、スタンダードであるがゆえに、理想のTS系を探す過程でペダルに関する知識を沢山身に付ける事が出来る、という一面もあります。
TSを制すもの、ODを制す。
そう言ってしまっても大げさではないかも知れませんね。
まとめ
今回はTubeScreamerシリーズに先駆けて、TS系の魅力について再確認してきました。
・ミッド寄りはメリットも大きい
・ローゲインなBoosterに最適
・豊富なバリエーションが魅力的
TS系はバンドでの演奏、もしくはギターの録音等において、押しのギターソロに最適なペダルだと思います。
TubeScreamerは間違いなく、ワールドクラスで最もスタンダードなOverDriveです。
ペダルに拘っている方で、TS系のペダルを一台も持ったことが無い人は殆どいないでしょう。
日本で生まれた回路がこれだけ世界中で愛されているのは誇らしい事だと思います。
皆さんもOD探しに疲れたら、是非ども一度TS系のペダルに立ち返って、この回路が持つ魅力を再確認してみてはいかがでしょうか。