ベースのミックス、難しいですよね。
心地よい低音を生み出したいのに、うまくいかない・・・
ベース単体で聴くと良い感じなのに、オケと混ざるといまひとつ・・・
そんな悩みを抱えている人は多いと思います。
実は、よほど変な録り方をしない限り、ベースの低域は最初から十分に出ています。
ではなぜ上手く聴こえないのかというと、それは「他の楽器に邪魔されてるから」です。
必要な低域は出ているのに、ギターやドラムの低域とぶつかってしまって綺麗に響かない。
それに気づかず、ベースのローをもりもりブーストしてしまう・・・
この悪循環が、あなたのMIXを悪くしているかもしれません。
ベースの低音を出すためには、ギターやシンセなどの不要な低域をカットすることが重要です。
低域のぶつかりを避ける
ギターやドラムは、思っている以上に不要な低域を持っています。
その低域がベースとぶつかってしまい、濁った響きを生み出しているのですね。
ベースの低域を響かせるためには、ベース自体に手を加えるよりもまず、これらのパートに対してローカットを行います。
今回はギターを例にして説明します。
ギターは180hz付近に低音の芯があり、それ以下にはモワモワとした響きばかり含まれています。
そしてこのモワモワこそがベースの音を濁らせる真犯人です。
EQを使ってがっつりカットしてしまいましょう。
まずはハイパスフィルターを90hzに設定します。
さらに、シェルビングEQで150~180hz以下を5db程度カットします。
EQをオンオフすると、モワモワとした感じが無くなるのがわかると思います。
ベースを鳴らしながらチェックすれば、低音の響きが格段に良くなっていることに気づくでしょう。
一度この感覚を掴めば、他のパートに対しても同様の処理をすることが出来るようになります。
楽器によって不要な周波数は異なりますが、モワモワした部分をカットするというイメージを持っていれば、見つけるのは難しくありません。
全パートもれなく処理していきましょう。
むやみにブーストしない
低音を処理するもうひとつのポイントは、むやみに低域をブーストしないことです。
これは、ベース単体で聴くと心地よい低音が出ているのに、オケと合わせると埋もれてしまう人によくあるパターンです。
ベースは60hz付近に心地よい重低音を含んでいます。
ベース単体で聴きながらEQしていると、ついついこの60hzを含んだローをブーストしてしまいがちです。
ところがその状態でオケに混ぜてみると、なんだか輪郭がはっきりとしないベースになってしまいます。
重低音ばかりで肝心の音の芯が出ていないため、オケに埋もれてしまうのですね。
ベースに低域の量感が足りない場合は、音の芯である150hz付近をピンポイントでブーストしましょう。
60hzの重低音と比べると、150hzはいくぶんか軽い音に聴こえるかもしれません。
ですがオケに混ぜたときには、むしろ気持ちの良いローエンドを演出することができます。
ベースに限らず、EQを入れる際には他の楽器を鳴らしながらチェックしたいですね。
コンプで安定させる
最後はコンプレッサーを使ってベースの低域を安定させる方法を紹介します。
ベースは非常にダイナミックレンジの広い楽器です。
特にアンプにマイクを立てず、ラインのみで録音されたベースは、かなりピーキーな音量の差を含んでいます。
そのままではフレーズ毎に音量がフラフラと揺れてしまい、どっしりと曲のローエンドを支える事ができません。
やや強めにコンプレッションして、安定感のあるベースラインを作りましょう。
アタック早め
リリース中間~遅め
レシオ4:1
7db程度のリダクション
これくらいのセッティングからスタートすると良いと思います。
音量が揃うと同時に音圧感が強くなるポイントを探します。
やりすぎると低音が感じられなくなるので注意して下さいね。
まとめ
・必要な低音は最初から出ている
・重低音をブーストしない
・コンプで土台を安定させる
心地よい低域を生み出すには、ベース自体よりも他の楽器の低音に気を付ける事が重要であることがお分かり頂けたでしょうか。
ベースに限らず、不要な帯域をカットする、という技術はミックスの基礎であり極意です。
一朝一夕では身につくものではありませんが、常に意識し続ければ必ずコツを掴める時が訪れますよ。
頑張っていきましょう。