どうも、べにまるです。
今回はボーカルのミックス処理について解説したいと思います。
ミックスをする上で最も大事なパートが存在するとすれば、それは間違いなくボーカルでしょう。
ボーカルが主役として太く鳴っていることは、現代のポップス/ロックの必須条件となっていますね。
ですが、いざボーカルのミックスをしてみると
・音が細くてイマイチ前に出てこない
・かと思って音量を上げればオケと浮いてしまい違和感がバリバリ
といった問題に直面します。
ボーカルの処理で大事なのは、ボーカルがオケの最前列で鳴っている状態をつくる事です。
そのために必要なのは
・コンプで音を安定させる
・ショートディレイで存在感を出す
この2つを確実に押さえる事だと思います。
ボーカルは最もダイナミクスに富んでいる楽器だと言っても過言ではありません。
そのままだと強弱の幅が大きすぎて、フレーズによって奥に引っ込んだり手前に来たりとフェーダーが安定しません。
また音の立ち上がりがソフトなため、主役として目立つにはちょっと音にパワーが足りません。
コンプレッサーを使ってどっしりと最前列から聴こえるように安定させましょう。
同時にショートディレイを用いて音を膨らませる事で、音を太くしつつオケと馴染ませていきます。
ボーカルは絶対に手を抜けないパートです。
しかし意外と、ギターの音にはこだわるのにボーカルは適当だ、という人も多かったりします。
他がどんなに良くても、ボーカルの処理が甘ければ曲は台無しになってしまうでしょう。
最優先でマスターしていきましょう。
まずは下ごしらえ
さっそくコンプレッサーをインサート!と行きたいところですが、まずは素材の下ごしらえを行いましょう。
ハイパスフィルターを使って、ダブついた低音をスッキリとカットします。
人の耳に聴こえないくらいの低音であっても、コンプレッサーをがっつり掛けて音を持ち上げると、他の楽器と音がぶつかって聴き取りにくくなってしまいます。
ボーカルが聴きとりにくいと、どんどんフェーダーを上げてしまい、結果オケから浮いていく、といった悪循環が生まれます。
まずはハイパスフィルターを60hz位から入れてみましょう。
帯域を上下にズラしてみて、音が変わってしまわないギリギリのポイントを探します。
もしも素のVoトラックがもっさりしていて抜けが悪く感じるときは、ちょっと音がスッキリする位まで周波数を上げても良いです。
90hz位からローカットすれば、相対的に中高域が強調されてタイトな印象になると思います。
最初の下ごしらえ次第で仕上がりが大きく変わってきます。
特にボーカルは大事なパートだからこそ確実にこなしたいですね。
コンプで音を安定させる
下ごしらえが済んだら、コンプレッサーを使って音の距離感を調節していきます。
ボーカルが最前列から安定して聴こえてくる状態を目指しましょう。
・アタック やや遅め
・リリース やや早め
・レシオ4:1
・7db程度のリダクション
これ位のセッティングからスタートしてみましょう。
アタックはやや遅めにして、音の自然な立ち上がりを強調します。
リリースは音の歯切れが悪くならないようにやや早めに設定しましょう。
7dbとやや多めにリダクションする事でどっしりとした安定感が出てきます。
セッティングを詰める際は必ずドラムやベース、ギターなど他の楽器を鳴らしながら確認しましょう。
ボーカル単体で聴いていると音の前後関係が掴めません。ボーカルが他の楽器よりも手前から聴こえるポイントを探しましょう。
CLA-2Aを使ってみよう
コンプの設定が上手くいかないときは、使うプラグインを変えてみるのも手です。
その場合、オススメなのがWAVES CLA-2Aです。
CLA-2Aは実在するハードウェアコンプレッサー、LA-2Aをモデリングしたプラグインです。
LA-2Aはアタックやリリース等のパラメータが固定されており、細かい調節が一切できません。
その代り、ボーカルを自然に揃えるのに最適なセッティングになっており、細かいことを考えなくてもナチュラルなコンプレッションが出来ます。
とっつき易さからWAVESを例に紹介していますが、LA-2Aをモデリングしたプラグインであれば他メーカーの物でも全く問題ありません。
セッティングが上手くハマらないときはデモをDLして試してみると良いでしょう。
ショートディレイで存在感を出す
コンプレッサーがうまく設定できればボーカルの安定感は充分ですが、それだけではまだ太さが足りず、オケのパワーにボーカルが負けてしまいます。
ショートディレイを使ってナチュラルに太さを出していきましょう。
非常に短いディレイタイム(16分音符1拍分くらい)で1回だけ返ってくるように設定します。
ディレイの音量は、Soloでは聴こえるがオケと混ぜたら聴き取れない程度にしましょう。
音を自然に重ねる事で、ふくよかな厚みを与えることが出来ます。
よく、同じ歌を二回録音して重ねたり、Voトラックをコピーして重ねたりするミックスのテクニックがありますが、ショートディレイを使えばそれと同じ効果をカンタンに得ることが出来ます。
使うディレイは何でもいいですが、音がキレイ過ぎるデジタル全開のプラグインよりは、ちょっとディレイ音が劣化する”アナログ風”なモデルの方が、ナチュラルな質感を出せて良いかもしれません。
個人のDTMにおいてコンプやEQはよく使われるものの、意外とディレイを活用している人は少ないように感じます。
ディレイは一度使いこなせるようになればとても応用の効くエフェクトです。どんどん使って腕を磨きましょう。
まとめ
今回はボーカルをオケに馴染ませるテクニックを紹介しました。
・コンプレッサーを使ってボーカルが最前列から聴こえるようにする
・ディレイを使ってオケに負けない厚いボーカルを作る
この2つのポイントを押さえられれば、どっしりと腰の据わったボーカルトラックが出来上がるはずです。
ボーカルの処理は、楽曲のクオリティに直結します。
ですが、やみくもに処理しても良い結果は得られません。
必ずボーカルがオケの最前列で鳴っている状態をつくる、という目的を忘れずにミックスを進めましょう。